2024年6月14日に改正入管法が成立・公布され、2027年4月に施行される予定です。
育成就労制度の創設に伴い永住者の増加が見込まれることから、永住許可制度の適正化として取消事由が新設されました。
改正法により、永住資格の取消事由に、
①故意の公租公課不払い
②特定の重大犯罪による拘禁刑
③悪質な入管法上の義務違反
が追加されました。具体的には以下のとおりです。
① 故意の公租公課不払い(改正後22条の4第1項第8号)
「故意に公租公課の支払をしないこと」とは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことをいい、例えば、支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず、公租公課の支払をしない場合などを想定しています。
ここでいう公租公課とは、住民税・所得税などの租税のほか、年金保険料や健康保険料などの社会保険料を含みます。
一方で、病気や失業など、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していません。
なお、差押え等で事後的に未納が解消された場合でも、それにより必ずしも在留資格の取消しなどの対象とならないというものではありません。
ただし、未納額・未納期間・本人の対応状況等を踏まえて総合的に判断されるとされています。
② 特定の重大犯罪による拘禁刑(改正後22条の4第1項第9号)
具体的には、刑法の窃盗、詐欺、恐喝、殺人の罪などや自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の危険運転致死傷など、一定の重大な刑罰法令違反に限られており、いずれも故意犯を対象としています。
過失による交通事故、道路交通法違反、罰金刑は対象外です。
③ 入管法上の義務違反(改正後22条の4第1項第8号)
在留カードの携帯義務、有効期間の更新申請義務などの入管法上の義務を正当な理由なく履行しない場合です。
ただし、うっかり在留カードを携帯しなかった場合や在留カードの有効期間の更新申請をしなかった場合に、在留資格を取り消すことは想定していません。あくまで悪質なケースが対象とされています。
取消事由に該当しても、ただちに国外退去となるわけではありません。
直ちに在留資格を取り消して出国させるのではなく、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権で永住者以外の在留資格への変更を許可することとされています。
多くの場合、「定住者」の在留資格が付与される見込みです。
また、「定住者」などの在留資格に変更された場合であっても、その後、公的義務が適正に履行されていることなどが確認できれば、再度、永住許可を受けることが可能 です。
在留資格の取消し又は変更の対象となるのは、在留資格取消事由に該当する者だけであり、当該対象者の家族であることを理由として、在留資格の取消し又は変更の対象となるわけではありません。
ただし、配偶者が「永住者の配偶者等」で在留している場合は、「定住者」等への変更が必要になります。
法務大臣は、入国審査官又は入国警備官に事実の調査を行わせるほか、入国審査官に、対象となっている外国人からの意見の聴取を行わせることとなっており、本人や代理人が意見を述べ、証拠を提出する機会が保障されています。
処分に不服がある場合は取消訴訟等を提起できます。
通報については、国又は地方公共団体の職員がその職務を遂行するに当たって在留資格取消事由に該当すると思料する外国人を知ったときは通報することができるとしていますが、その通報は義務ではありません。
また、単に税金の支払い相談で役所に行っただけで通報されることは想定されていないとのことです。
特別永住者は、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国の管理に関する特例法に基づく地位であり、今回の改正の対象ではありません。
国会で追加された附則第25条により、取消しの対象となるかどうかは、対象者の我が国への定着性や生活状況等にも十分配慮して判断することとし、慎重に運用するとされています。
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出典:出入国在留管理庁ホームページ
(https://www.moj.go.jp/isa/)